独身の三十代後半の上司となれば、お給料だってそれなりにはもらっているはず。

当然、部下より多いはずである。

しかも独身という自由な身なのだから、借金の返済で首が回らないなどの特別な理由がない限り、手元に残るお金だって多いはず。

そんな状況下で、直属の部下にお金を借りている上司の実態に度肝を抜いた。

というか、非常に失望した。

しかも、一度や二度ではないようで、頻繁に借りているというのだから呆れたものだ。

そもそも、上司にそんなこと頼まれたら断れる部下なんていないし、その上司も上手いことやるなと思う。

聞けば、貸したお金はほとんどがギャンブルに消えているようで、失望を通り越し、開いた口が塞がらなくなった。

一応はきちんとお金は返ってきているようだが、自分の嗜好のために部下にお金を借りるというのはどういうものだろう……。

それでいて、会社では偉そうにしているのだから非常に不愉快でならない。

色々話を聞き出すと、元来の浪費家であることは間違いないと分かるが、部下にお金を借りるのは自ら首を絞めているのとなんら変わらないのではないだろうか、と思ってしまう。

その部下から他の従業員に話が回ってしまうという不安は無かったのだろうか。

きっと上司的には信頼している部下なのだろうが、こうやってこっちの耳にも入ってきているのだから、この話を知っている従業員はかなりいるはず。

そんなにギャンブルをしたければ自分のお小遣いの範囲内でやって欲しいものだ。

会社では責任感が云々とか、自己管理が云々とか、立派な言葉をまくし立てているというのに、矛盾というか、もう何もかもが安っぽく感じてならない。

金融会社から借りるのは利息がかかってしまうし、怖いから手を出さないのだろう。

いや、もしかしたら、既に借金地獄に陥っている可能性がある。

利息の返済に手一杯で、でもギャンブルは止められなくて、部下にお金を借りるという悪循環。

とにもかくにも、お金を借りる理由があまりにも情けなくて、自分はそんな先輩には絶対にならないと心に決めている。